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うきうきマンドリル

鼻の角栓抜くのの次くらいの暇つぶし

仲の春

朝、デスクトップPCが時報をしゃべる。「午前11時です。」まだ眠っていたい。漫画カイジのような、マフィアが絡んだマネーゲームに巻き込まれる夢を見ていた。カイジを読んだことはない。現実世界が充実しないと夢の世界がグンと豊かになる。夢が現実を呑みはじめる。酷いときにはスターウォーズエピソードⅠを丸々、夢シアターで鑑賞したこともある。昨日の記憶を辿る。いつのまにベッドに?深夜に味噌汁を作り小腹を満たしたところまでは覚えているが、、、

 

布団と毛布に紛れ込んだスマホを救い出す。Twitterを見ると早起きな同級生が「今日は小春日和♪」と呆けている。言われてみれば分厚い緑の遮光カーテンが窓枠の影を濃く映し出し、陽射しの強さを窺わせている。春という季節は新生活の訪れ。僕にとっての4月から迎える新生活はすなわち留年生活。たしかに近づく落伍の瞬間、今年の春に良い印象を持てるはずもない。LINE通知は3件。昨晩のやり取りのピリオド代わりにと付された荒唐無稽なスタンプ。そして公式LINE天気予報。なるほど、本日は晴天だ。ソシャゲのログインボーナスを取るためにアプリを起動した。

 

台所に立つ。昨晩の味噌汁が、具材を取り去られ白い味噌が鍋底に澱んだままで残っている。慣れない、しかし慣れたつもりの手つきで白菜1/8玉をザクザクと刻み、火にかけた鍋に投じる。等分、という表現とは程遠い雑な仕事も、数十分後には消化器系にさらされていることを考えれば拘りを見出す方が愚かしいというもの。冷凍保存してある今日が賞味期限の豚バラ肉を湧いた味噌汁の残骸に沈める。朱色のタンパク質が熱で白く変性する。しゃぶしゃぶ肉を湯にくぐらせた時のあの高揚感。あの日は3000円食べ放題。この日はせいぜい200円程度の安設備だけど。

 

どれだけ粗末にしたって茹でた豚肉と煮詰まった白菜のコンボは美味しくしかならない。腹を満たし、毛布を押し込んだ洗濯機のスタートボタンを押して、パソコンに向かう。RSSリーダーではてな匿名を流していると


絶対に結婚しないとダメなんだって思った

 

中年になる前から似た暮らしはしている。しかしまだ僕は若い。夢がある。明日がある、明日がある、明日があるさで遥々2月までやってきた。大学3年生としての明日がないことを、僕はもう一度思い出していた。