うきうきマンドリル

鼻の角栓抜くのの次くらいの暇つぶし

冴えない大学生向けのアニメ「四畳半神話大系」!誰が冴えない学生だ!俺のことか!!

「今なら踏み出せる!何十歩でも、何百歩でも!」

長い前書き

今週末、京都行き・孤独の旅を敢行する。このブログでも先日、「オススメの観光スポットありますか?」と呼びかけた。多くの方が旅の案を寄せてくださったことに感謝感激すると同時に、今回の旅行はもはやブログにアップする旅レポを書くために計画しているのでは、と錯覚し始めている今日この頃である。

昨晩から、"大学生が歩く京都”を予習したいという考えのもと、手に取ったのがアニメ「四畳半神話大系」だった。結論から言うと、アニメの視聴を観光スポットの下調べに代えようという発想はあまりに都合のいい話で、実際は大して旅行の計画の助けになるような内容のものではなかった。鴨川デルタと木屋町通は実際に見てみたいと思ったが。(得体のしれない妖気を垂れ流す占い師はいるだろうか・・・)

しかし今回初めて京都という町について興味を持って調べものをした結果「四畳半神話大系」というアニメに出会うことができたのは、今回の旅の思いがけない最大の収穫であったと言っても過言ではないのだ。(まだ京都の地に降り立たないうちから)

やや興奮気味かつ冗長に語るが、ネタバレ注意&アニメ初心者の戯言ということでよろしくお願いします

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この作者は俺を監視しているのか?

「この作品は俺のことを描いている!? 」と読者を驚かせてくれるというのは名作と呼ばれる作品の特徴のひとつだろう。自分だけに思い当たると信じていた心情が公に発表されている作品の中で描き出されていることへの驚き。

太宰治の人間失格では、道化を演じて上手く立ち回る主人公の計略をクラスでも冴えない少年にあっさり見破られて指摘され、主人公が動揺する、というくだりがあり、僕は主人公と同時に化けの皮を剥がされる恐怖に震えあがった。僕だけが有している恥ずかしい主観だと思っていたのに。そんなことを爆笑問題の太田さんも言っていた。

今回も同じような感覚を覚えた。このアニメの主人公は、今まで観てきたどの作品の主人公よりも僕に近い。「これは俺の物語だ」と引き込まれる。そしてこの作品が(主にネットの評判を見るに)多くの人に愛されているという事実は、この世の中に、華のキャンパスライフを夢見ながらも四畳半の下宿先にこもり悶々としているような大学生がどれだけ多いかということを示しているのだ。

パラレルワールドなあらすじと感想

もう完全にネタバレを始めてしまうが、このアニメは京都大学の学生である主人公「私」が入学当初、バラ色キャンパスライフを思い描いて選んだサークルに入会するも、人間関係などが上手くいかずにサークルでの居場所を失う。同じくサークルで浮いていた変人「小津」とつるむようになり、ヒロイン明石さんとも知り合う。「目の前にぶら下がる好機を掴め」と占い師の老婆に諭されて明石さんにアプローチをかけようか逡巡するも、小津の企みに巻き込まれたりして台無しにされる。こんなはずではなかった、あの日に時間を戻したい・・・・・・各一話が終了。

翌回で主人公はまた別のサークルに入会して学生生活を送るパラレルワールドでの「私」として描かれる。またそこで小津と出会い、占い師に「好機は・・・」と諭されて、という繰り返しが毎話が繰り返される。各々の世界は要所要所で重なり合い、10話、11話で伏線は綺麗に回収される。

2周目として見返すと10話で明示している伏線以外にもネタはたくさん盛り込まれている。(と偉そうにしてみたが、こちらのサイトの緻密なレビューに大変お世話になった)

no-view.com


映画サークル、鳥人間コンテスト、ソフトボールサークルの皮を被った宗教団体などのバリエーションのあるサークル選びから展開される馬鹿馬鹿しいエピソードが毎回視聴者を飽きさせない。

1話 テニスサークル「キューピット」
2話 映画サークル「みそぎ」
3話 サイクリング同好会「ソレイユ」 
4話 弟子求ム 
5話 ソフトボールサークル「ほんわか」
6話 英会話サークル「ジョイングリッシュ」
7話 サークル「ヒーローショー同好会」 
8話 読書サークル「SEA」 
9話 秘密機関「福猫飯店」 
10話 四畳半主義者 
11話 四畳半紀の終わり

(Wikipediaより)

 

初見の1話目は突然始まり淡々と進むナレーションと独特な台詞の言い回し、実写のような画が挟み込まれる演出などにきっと困惑するかもしれない。しかし2話、3話と話を追い、パラレルワールドを繰り返し見ていく構成だということを理解すると、「私」の口上のテンポが心地良くなってくる。

小津が師匠と慕う樋口清太郎は大学8回生という、留年を経験している僕にとってはもはや笑えない冗談のような設定なのだが、彼が10話目のなかで「私」に語る 「バラ色のキャンパスライフなど存在せんのだ。なぜなら世の中は薔薇色ではない。実に雑多な色をしているからねえ」という台詞が響いた。

しかしここでは一々僕自身の境遇に当てはめた感想を述べていったりはしない。先にも述べた通り、これは僕自身の物語だからだ(あと字数がいくらなんでも多すぎる)

 

「夜は短し歩けよ乙女」は過去に読んだのだが

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高校生の時分に同じ原作者、森美登美彦の小説「夜は短し歩けよ乙女」を読んだ。しかしそのときの感想は、登場人物の独特な台詞が上滑りしているような印象を受けて、内容が頭に入ってこなかった。なぜこんなにネットで絶賛されているのだろうかと疑問だった。ひとえに当時の理解力が低かったのだろうと推察するが、次はアニメ版の「私」のような調子で読み上げることで文章のノリを存分に楽しめるだろうこと間違いない。再読を心に決めた。

樋口師匠は夜は短しにも登場するキャラクターなのだが、以前の読みがいい加減で、描写を読み飛ばしてしまっていたからなのか、ルパン3世の五右衛門のような容姿をイメージしていた。まさか"茄子のようなシャクレ顔”だったとはね。

(2400字・・・おわり・・・)