うきうきマンドリル

鼻の角栓抜くのの次くらいの暇つぶし

きぃ~みぃ~がぁ~いた夏を、遠い夢にしたくない

君と恋仲になったのは去年の夏の終わりだったね。納涼祭なんかもとっくに終わった頃だった。花火大会に女の子と行くことだけを夏のテーマに掲げていた去年の僕は、単に彼女がほしいというだけの煩悩に駆られた青く浅い男だったよ。君の悄気た表情が目に浮かぶからわざわざ話すことはないけれど、去年の今頃、僕は君とは別の女の子との花火大会デートを目論んでいたんだ。君が僕に想いを寄せてくれているのは知っていた上でね。

 
人生のうち三度来ると聞いたモテ期が今の歳になってようやく初めて来た夏だったんだ。堂々たる童の貞だった僕が、最終的には君とお付き合いするというベストの選択肢をしっかりと選べたのは、運が良かったというほかの何でもなかったね。「草食系男子の恋愛学」とか、その他マニュアル本をいくら本棚に積んだところで、引き寄せられる運と引き寄せられない運というものがある。人の縁を思い通りになんておこがましく、良くも悪くも出来っこないことだということをつくづく実感するよ。
 
女の子と手さえも繋いだことのなかった童(ワラワ)の僕は、人より少し汗ばみがちな自分の手が君の細指を湿らせることにとても戸惑いを感じていたんだ。ベタに取っ掛かった初デートの水族館で、さりげなく握ってはすぐに離したあの手を、最高気温37℃の今日は当たり前に握っている。1年弱で君は僕に随分な自信を与えてくれたね。
 
初めて行く花火大会は、Whiteberryの「夏祭り」のようにキラキラしたものじゃなかったな。茹だるような暑さ、顔をしかめたくなるような人混み、不味い露店、ジバニャンのお面。慣れない下駄は無暗に僕らの体力を削ってくる。インドア派の僕にとっては夏祭りなんて、是が非でも避けるべき夏のイベントのひとつであるはずなのだ。それでも、隣の君が楽しそうに、連続して上がる花火の一発一発にそれぞれリアクションをとっているのを見ると、不思議と疲れは軽くなり、来て良かったと思ってしまうのだった。
 
 
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付き合って1年近くになる彼氏との花火デート。
夏だしリア充っぽいことしとかないとね。
場所取りのために日の高い時間から来てるから仕方ないのかもしれないけど、露骨に彼の疲労感がこちらに伝わってくる。どにかくダルそう。
あれで自分ではポーカーフェイスを決められていると思っているから笑える。
女の私のほうが体力ないのが普通なのに、こっちになんの気遣いも一切しないで、勝手にテンション下がってる。
こっちががんばって盛り上げようとしてんのに
「いまのハート型の花火見た!?」
「あー、ごめん、見てなかった…」
じゃあ何を見てたんだよ・・・ボーッとすんなよ・・・
てか、手汗やば・・・ヌルヌルじゃん・・・
そうだ、自然と手を離しちゃうためにリンゴ飴買おっとwwwwwwwwww
 
空に消えてった打ち上げ花火