うきうきマンドリル

鼻の角栓抜くのの次くらいの暇つぶし

受験生ブログ墓参り

大学生になって3年目の夏ですが、お盆に田舎へ帰ってお墓参りをするように、僕は1年に1度、僕のブログのルーツとも言える受験ブログ界隈を巡回します。正確には、2011年~2013年のあいだの受験生たちのブログの跡地を巡ります。当時活動していた多くの受験ブログのリンク集が残っていて、そこにあるブログのURLを片っ端から開いていくのです。基本的にそれらのブログは更新が止まっていて、なかにはとっくの昔に404 PAGE NOT FOUNDとなっているものも少なくありません。

 

【ご報告】とタイトルを打ち、不合格を伝えて「これが最後の更新です。またどこかで!」と消えていくブログ。「明日は国公立2次試験です!早く寝ます!」という2月25日の投稿ののち、2度と眠りから目を覚ますことなく更新が止まっているブログ。無事に大学合格を報告したあと、受験生に有益な情報を発信し続けるブログ。受験の闇から一転、楽しそうな大学新入生ライフを書いてみるものの、リアルが忙しいのか合格年のGWくらいからフェードアウトを決めるブログ。定期的に読んでいた懐かしいタイトルのもの、そうでないもの。どれを取っても哀愁を感じます。お墓です。そこに筆者はいません、眠ってなんかいません。

 
この巡回は別に現役の受験生への冷やかしのつもりでもなければ、野次馬根性が抑えきれないというわけでもないのです。必要性などありません。ただなんとなく、ふらっと地元へ足が向いてしまうような、そういう感覚です。あそこはオンラインの世界における僕にとっての故郷なのです。
 
僕がインターネットにハマりこんでいったのは、その年の受験を早々に諦めてしまっていた高3の冬でした。どうやって浪人生活を送ろうか。予備校は?参考書は?偏差値ランキングは?予備校生って男女の出会いはあるのかな?そんなことをサーチするためにネットサーフィンをしていたとき、今はもう閉鎖されましたが、「学生ブログランキング」という日本ブログ村よりもアングラな雰囲気の(笑)ランキングサイトに辿り着きました。
 
「学生ブログランキング」はなんの変哲もないランキングサイトでしたが、たしか下は小学生、上は大学院生まであり、そこにひしめく、大学生、大学院生ブログの上位層のクオリティたるや大変なものでした。そこでとある「流麗な文章力でゲスい下ネタを披露するブログ」と出会い、その筆力に憧れ、当時受験生だった僕は大学生になった暁にはこのランキングサイトに参入したいと思ったものでした。僕が浪人を経て大学生になったときにはこのサイトはすでに閉鎖されてしまっていたのですが。
 
 手始めに僕は受験生ブロガーというカテゴリーでこのサイトに登録し、張り切ってブログを書きました。毎日書きました。勉強の話なんてほとんどしませんでした。第一志望には落ちました。僕に限らず、毎日更新しちゃうような受験生(特に浪人生)ブロガーは、ブログを始めた年には第一志望にまず受かりません。受験に関係ないことを面白おかしく書くことに目覚めてしまった人はあと1、2年は浪人します。合掌。
 
そんな受験ブログ界隈のなかにあって、ダントツで読みごたえのあるブログがありました。筆者は東大文系志望の浪人生で、ただ黙って受験勉強していても合格している学力はあっただろうに、彼は受験勉強という無機質なものに意味を持たせることをテーマにした文章を、月に数件のペースで投稿していました。論理展開や説得力において、同世代の人間の書く文章とはとても思えなくて、僕はその彼の内省的な思考力の大ファンになりました。彼は東大に合格しました。もう一度言いますが、僕は落ちました。そんな彼のブログも、彼が合格した半年ほど後に閉鎖されました。僕は閉鎖される直前に、その中で特に心打たれた文章をテキストエディタにコピーペーストし、今でも大切に保存しています。火葬場からこっそり遺骨を盗み出すようなことをしていましたね。
 
それからさらに1年後、相変わらずブログをシコシコ続けていた僕は、人生の強運すべてを使い切ることで、大学に進学しました。理系の基礎学力のないままでの進学だったので、同級生との学力の差に悩み苦しみ、現実逃避のために今でもこうやってブログを書いているというわけなのです。
 
もしあの日あの時、受験ブログ時代に、ちゃんと自分で参考書を選び、計画を立て、毎日勉強をして、赤本で志望校の対策を練り、模試の結果に一喜一憂して、最後には盤石の態勢でいまの大学の入試を受けることができたならば。ちゃんと段階を踏んで成功体験を積み、自分に自信をもって、負け癖、怠け癖から脱することができていれば。僕は受験生を全うしたかった。肝心なところで頑張れない自分を嘆いて久しい。学歴には未練はないが、受験生としての在り方に未練タラタラで、今日も留年生は日記を書き続ける。(2000字も何書いてんだろ)