うきうきマンドリル

鼻の角栓抜くのの次くらいの暇つぶし

独りぼっちの旅行記~アニメにかぶれて歩いた京都

 普段はともかくとして旅行のブログを書くときは写真をふんだんに使うべきだ。字で埋め尽くされた旅行記はよほどのユーモアを交えなければ読み飛ばされてしまうというのは経験上分かっている。

しかし如何せん僕の撮る写真は拙劣で見苦しい。まして群雄割拠のはてなブログ、撮った写真を見境なくアップロードするには抵抗があるのだ。そもそもそういう意識だからあまり積極的に写真を撮らない。おばあちゃんのガラケーに入っている庭の花の写真くらい、純に、鈍感に写真と向き合いたいものだ

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  昼すぎに地元の駅から電車に乗ることで今回の旅は幕を開けた。日常町に出ていく習慣がなく平日昼間の電車などは何年ぶりかという体験だ。ふらっと引き寄せられるように乗り込んだ車両。長椅子の両脇だけが一部埋まるというくらいの混み具合のなか、僕が座ったななめ向かいに彼女はいた。

彼女は僕がイメージする"京都の学生さん"そのものの佇まい。シンメトリーの柄の白ニットに黒いロングスカート、下膨れの輪郭をフワリとショートカットの毛先で覆い、くっきりと大きな目に被せた丸眼鏡は和風な魅力を添える、凡人ならのび太かあるいはそれ以下に成り下がるファッションを彼女は見事に自分のものとしていた。

3日前にアニメ「四畳半神話体系」を観終えたばかりの僕は、僕にとっての「明石さん」を見つけたように思えて心から喜んだ。ありていに言えば、僕は彼女に一目惚れした。旅先ならば「旅の恥はかき捨て」とばかりに声をかけてしまっていたかもしれない。だが、そう、この「京都の学生さん」風の彼女は僕の住まう地元の電車内で見ている女性なのだ。まだ家を出て30分の距離である。

 はす向かいの明石さん(仮)をたまにチラチラと盗み見しながら3駅、4駅と過ぎてゆく時間は引きこもり予備軍の僕にとって至高の時間だった。やがて車内が混み合ってくるが僕はまだ周りの視線の変化に気づくことはなかった

妙齢の女性が扉が開き乗り込んでくる。まっすぐに僕のほうに歩いてくると

「ここ、女性専用車両」

吐き捨てる、とはこのような場面で使うのだろう。「アハハ、ウッカリしてましたわw」と場を和ます余地も与えない。私は逃げるように車両を降り、隣の車両の閉まる直前のドアに飛び込んだ。久しぶりの遠出、久しぶりの電車で女性専用車両という概念を忘れてしまっていた。もうちょっと穏やかな言い方があるんじゃないかとむくれた。悪いのは全面的に僕だし、まして明石さんを不埒な目で見ていただけに罰は悪いのだが。

 京都の駅に着くと持ち前の方向音痴ぶりを如何なく発揮し、地下鉄改札口と真反対の方向へ歩き出す。たまたま駅内にあった宇治茶の老舗「辻利」にたどり着き、抹茶ソフトクリームで一服。観光と言えばソフトクリーム、ソフトクリームと言えば観光。それが慣行なのである。

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(京都に降り立ったばかりだけど、つづく。こんな感じであと2回分くらい長文を垂れ流します汗)

rickey.hatenablog.com

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