うきうきマンドリル

鼻の角栓抜くのの次くらいの暇つぶし

カメレオンを飼ってみました

働き始めればこの虚無感も解消されるはずーーー

医学部で2年分の留年を経験して、
ウェイな大学生活も長くは続かず、
いつしかベランダで煙草を吸いながら虚な目で
ブログの運営が生活の中心となっていた

心療内科に通い、薬の離脱症状で頭の中はシャンシャンとざわめき、
出口の見えないトンネルの中で立ち尽くした

どこかで今や思い出せない何かしらの転機が訪れ、
いつしか体調は戻り、真面目な医学生に更生した

大脳が壊れてしまわぬように、
運動と瞑想と350g以上の野菜の習慣を身に着けた

苦しんでいた頃が嘘のように頭は冴え、
医師国家試験に楽々合格の水準

再び虚無感に襲われ、
何者にかなろうと自己啓発にハマって
仏教者だのミニマリストだのに形から入り、
肉を食わなかったりしたけども飽きて辞めた

放っておいても国家試験に合格
初期研修で勤めた病院では環境に恵まれ、
研修医の本業である救急外来に精を出し、
己の身につけた知識経験で外来患者が回っていくことに自尊心を覚えた

そして一年が過ぎ、またしても虚無感が訪れた

肺炎、胆嚢炎、腸閉塞
往来する患者はパターン認識で捌かれ、
運ばれてくる老人は皆同じ顔にみえる

仕事に慣れ、知識経験がプラトーに達して、
同年度卒業の医師ならば誰にでもこなせる
同じルーティンを繰り返すだけの業務に
一体何の価値があるのだろうかと

こんなはずではなかった

自分の仕事を求める患者が無限に発生し
自分は必要とされる人間だと自己認識を繰り返すことができる仕事
これが医業だと疑わず青二才はこの道を志したのに

STAP細胞でも発見しなければ
己の価値を世に示すことはできないのか

岡田斗司夫さんというおじさんがいる
YouTube西村博之みたいに常人が思い付かないような発想を凡人たちに説く配信を昔からやられているおじさんだ

岡田斗司夫さんがいつかの動画で、
幸福=子どもの頃にやりたかったことをやりなさい
みたいな話をしていて

閃いてからは早かった
幼少期は動物園にいけば爬虫類の展示に張り付き、
浪人時代には予備校をサボってペットショップのカメやカメレオンを眺めていた

エボシカメレオン、2万円弱
飼育環境、6万円強

飼い始めの1ヶ月はそれはそれは夢中で
コオロギは食べているか、水は飲めているか
私の帰りを待つ蜥蜴が気になってしょうがなく、
仕事帰りの道はいつも早足で
まさに少年の心を取り戻した日々だった

そしてまた飽きてしまった、またプラトー

カメレオンがいる生活は当たり前で、
もちろん飼育放棄はしないが随分と慣れてしまった

プラトーのない世界を見つけられる気がしない
次のやりたかったことは何だったっけ