うきうきマンドリル

鼻の角栓抜くのの次くらいの暇つぶし

【落語】ガキ使もいいけど大晦日に立川談志の芝浜でも聴きませんか?

社会人の方は仕事納め、大学生の僕らはとっくに今年最後の講義が終わり、曜日感覚の薄れたゆったりとした日々を過ごしております。ネットも心なしか静かになりました。

高校3年生当時、受験生として迎えた年末は、大晦日も正月もない受験ムード。31日の夜は10時過ぎまで河合塾の自習室で過ごしました。大阪・谷町線の地下鉄のホームは閑散としていて、乗客もまばら。日本全国大晦日気分のなか、暦に関係なく一心不乱に勉強に勤しんでいたあの日は、我ながら、一生懸命生きているなあと自己陶酔したものです。

あれから数年。まさか大学進学後に怠惰で留年することになるとはこれっぽっちも思いませんでした。

 皆さん大晦日の夜はどうせ、家族団らんでガキ使でも観るんでしょう?「年々つまんなくなってきている」とか文句言いながらも今年の笑い納めをするんでしょう?


僕もそうやって年を越す予定なので何の文句もありませんが、その前にほんの30分、ゆっくり落語でも聞いて穏やかな時間を取ってみるのもいいんじゃないでしょうか。

そんなわけで、「芝浜」です。

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(Youtubeから借りるしかないですね・・・)


音声だけの動画なのですが、魚屋の女房を演じる談志師匠の声が若く、艶っぽいのでこのURLを推します。晩年に向かってよりシリアスな間の取り方が仕上がっていきますが、初めて聞くならこれがいいでしょう!

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(映像付きがご所望ならばこちらがいいです!)

酒ばかり飲んで仕事にいかない魚屋の勝五郎。何カ月もそんな調子で貧乏暮らしを強いられ、女房がしつこく主人に仕事に行けと急かします。

ようやく女房の言うことを聞き入れ早朝、仕入れの仕事に出た勝五郎は芝の浜で革の財布を拾う。中身を検めると四十二両という大金が入っていた。有頂天で家に飛んで帰り、仲間を集めて、拾った大金で大宴会を開く。

翌朝目を覚ますと女房がご立腹。話を聞いてみると、昨日勝五郎が財布を拾ってきたという事実はなく、それは働かずに金が欲しいという勝五郎の欲望が見せた夢だった。昨日の宴で散々金を使い込んでしまったという事実だけが残り、勝五郎は打ちひしがれて、ついに心を入れ替えて酒を断ち、真面目に働くことを決める。

と、ここまでが話の中盤までのあらすじ。落語といっても笑い話ではなく、しんみり染み入る人情話。爆笑を期待して聞くと肩透かしに合うのでそこだけ注意してくださいね。

浜辺で美しい朝日に向かってタバコの煙を燻らすシーンや、年の瀬の「雪が降ってきたか?」「お飾りの笹が触れ合ってる」という夫婦の和やかな会話のシーンなど、情景描写に富んだ味わい深い一席です。

クライマックスの女房からの悲痛で健気な訴え。旦那を思いやり、旦那がまともになってくれることを心から祈って支える気持ちが胸を打ちます。素敵な奥さんです。談志師匠のドラマチックな演技も素敵です。

アル中のダメ人間が真面目に働くようになり、気づけば3年後の大晦日。和やかな夫婦の語らい。この時期に聞くのにはピッタリのお話だと思いますので、今回おすすめしました。是非に。


そんなわけで

今年のブログ更新は今日で最後です。今年イチバンの思い出は、初めて立川志の輔師匠の落語独演会に行ってきたことでした。それでブログの締めも落語ネタでいこうかと。来年はもう少し落語の話題を取り上げていこうかと思っています。

皆さま、今年は大変お世話になりました。来年もまたのんびり更新していきますのでよろしくお願いいたします。良いお年をお迎え下さい。